ヒューマノイドロボット『RYUJI』mission1-⑨
「終わったぞ。…ありゃ、お邪魔だったか?」
公園の木々に隠れて恭介と抱き合っている所へRYUJIが声を掛けた。
俺は慌てて合わせていた唇を離した。
「俺、向こうで一服してっから、続けろよ。悪かったな!邪魔して」
気を利かせたのか?
ロボットのくせに…
「やめるのか?」
すぐ目の前に恭介の顔がある。
俺はつかの間の別れを惜しむかのように、また唇を重ねた…
長いキスから開放し、ようやく目を開けると、すっかり日も落ちていた…
ピコン♪
iPhoneを見た。
臣からのLINEだ。
「行かなきゃ…」
「意識がなくなるまで、飲むなよ」
「恭介も…美少年との火遊び、ほどほどにね」
「心配ならRYUJIを代わりに行かせばいいのに」
「心配なんかしてないよ」
「相変わらず、素直じゃないな」
「…行くね」
俺はもう一度恭介の唇を包み込んだ…
恭介が強く俺を抱き寄せ、更に深い口づけをしてくる…
欲情したまま…相方との待ち合わせ場所へ行くのか…
「はぁ…もう行かなきゃ…」
「サヨナラの代わりに、なんて言うんだっけ?」
恭介が軽く命令する。
「…愛してるよ、恭介」
「気をつけてな」
しっかり握っていた手を離した。
恭介を残し、俺は歩きだした。
少し離れたベンチで、激しく煙を吐くRYUJIの側を通った。
「もういいのかよ。bossがずっと見てるぞ」
「余計なお世話だ」
RYUJIから離れ際に、俺は立ち止まり振り返った。
「今日の音合わせは…痺れたよ」
「ヒュー♪」
RYUJIは口笛を吹いて言った。
「感謝してんなら、今度フィルターなしのタバコ買ってこい」
俺は何も答えず、歩きだした。
「ダースでな!一個だったらシバくぞ!」
馬鹿か。
俺を傷つけたら、お前にも傷をつけることになるのに…
「隆二!待てこら!」
振り向くと、暗闇の中キラッと光る物体が飛んできた。
咄嗟に手のひらでキャッチする。
「お前のだろ?返したぞ」
手を開くと、RYUJIに渡していたイヤモニがあった。
「……」
「こら!礼くらい言え!」
俺は後ろを振り向かず、臣との待ち合わせ場所へと向かった。
to be continued…
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