三代目❤夢小説 『直己編30』
俺は荷物を手に持ち、またあの竹林に立った
すると、小路の向こうから昨日のあの老人が真っ直ぐこちらへやって来た
「あ、昨日はどうも」
「おや?もう帰られるのかな?」
「はい」
「お客人はどこから来られたのか?」
「東京です」
「京都ではどこに滞在されてたのかな?」
「あ…太秦です」
「ここは嵯峨野の竹林じゃが…」
「え?…太秦の撮影所から少し歩いた所にある竹林ではないのですか?」
「…そうか」
「やはり化かされたようじゃな」
「どういう意味ですか?」
「今から200年ほど前は太秦にも沢山の竹藪があった」
「嵯峨野の竹林のように人によって手入れがされていない、文字どおりの鬱蒼とした竹藪での」
「俳句にも詠まれていた位、太秦の辺り一面竹藪に覆われていたそうじゃ」
「映画の全盛期に入り、太秦に撮影所の建設が決まり、周辺の竹藪が切り取られ、現在ではほとんど見ることが出来なくなった」
太秦には…竹藪がない?
つづく
夢小説ですが、直己さん目線でストーリーが進んでいきます。
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