『聖夜⑥』(続•臣隆妄想劇場91)ショートバージョン
翌朝、健二郎が目を覚ますと、枕元に赤い靴下が二つ並んでいた。
「あいつら…」
健二郎は照れ臭そうに笑顔を浮かべ、
そっと中を見ると、見覚えのあるルアーとスニーカーが入っている。
「………」
「かぶっとるがな‼️」
両手にルアーとスニーカーを持ち、キッチンを覗くと、
臣と隆二があたふたと、慣れない様子で何かを焼いている。
コンロに乗せた網の上から、モクモクと煙が立ち上っている。
隆二「あ!健ちゃん、おはよーっ!」
臣「よく眠れた?」
健二郎「なに焼いてんの?」
隆二「え?魚だよ」
隆二「あっちっち💦…臣!この煙なんとかなんないの?」
臣「え?俺わかんねーし…あっ!網にひっついた‼️」
健二郎「ク…クリスマスの朝に焼き魚って…」
隆二「健ちゃん好きでしょ?食べさせてやろうと思って、高級干物買っといたんだ…ケホケホ」
臣「隆二!うちわで扇げば?
ケホッ…」
近くに置いてあったうちわを、臣が差し出した。
隆二「余計に煙出るんじゃね?」
健二郎「ケホ…それよか、これ…
かぶっとるがな‼️」
健二郎が両手に持ったプレゼントを高く掲げた。
隆二「えっ⁉︎そうなの?健ちゃん持ってんの?」
健二郎「ルアーもスニーカーも同じ型の、しかも同色でな!ケ…ケホッ」
隆二「いーじゃん、ある意味消耗品だし…ゲホ」
臣「ゴホッ…やっぱりな…もしかしたら健ちゃん持ってるかもって言ってたんだよな」
隆二「そう…散々迷ったね」
健二郎「……」
健二郎(…そっか…二人して一生懸命選んでくれたんやな…)
隆二「臣、皿とって!」
臣「ほい」
いい焼き色をした肉厚の焼き魚が皿に盛られた。
すると隆二が焼きたての魚の身を箸で取り、
「はい!健ちゃん味みてみ」
「アーン」と言いながら、健二郎の口に入れた。
健二郎「熱っ!…ってか、うまっ❤️」
隆二「だろ〜?高級だぜ~」
臣「健ちゃん、早く顔洗っておいでよ」
隆二「健ちゃんのタオル置いてるからね」
健二郎「…おっしゃ‼️腹減ったな」
洗面所に行きかけて、健二郎が振り向き、
「あ…これ、リビングに置いてても
えーか?」
もう一度、両手に持ったプレゼントを高く掲げた。
隆二「うん!いーよ」
リビングへ行こうとした健二郎を呼び止め、臣と隆二が声を合わせて、
「健ちゃん、メリクリ♫」
笑顔で言った。
「ん…おおきに」
照れ臭そうに健二郎が答えた。
ダイニングから三人の賑やかな声がする。
リビングのテーブルの上には、ルアーとスニーカーと、完成したばかりのラジコンが並んでいる。
朝日を浴びて、
クリスマスツリーが一層輝いた。
完
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2017.12.27 11:11
2017.12.27 10:26
2017.12.23 13:02