『羨望⑥』(続•臣隆妄想劇場81)ショートバージョン
健二郎(臣ちゃんも随分優しい表情をするようになった)
(元々メンバーだけでいる時は、穏やかでよく笑う奴やったけど、熱愛報道とかゴシップ書かれて、インスタ荒れした時なんか、きつい表情してた時もあったな…)
(昔よりも柔らかなったよな、臣ちゃん…)
隆二「臣、ネギついてるよ」
そう言って隆二はおしぼりで臣の口を拭いている。
健二郎(隆二とは…二人がこうなる前は、
しょっちゅう俺とつるんでて、飲みに行ったり、買い物行ったり…)
(移動中も隣に座ってて、いっつも一緒やったな)
(おれ…ひょっとして寂しいんかな?)
健二郎はグイッとビールを飲み干して、
プハーッと天を仰いだ。
その様子を横でじっと見ていた隆二が、
「健ちゃん、恋煩いじゃないんだったら、
クリスマス暇でしょ?」
健二郎「そや、悪いか?なんも予定ないで」
そう言って横を見ると、臣と隆二が
ニヤニヤ笑っている。
すると隆二が新しいおしぼりを持って健二郎の口元を拭き「へへへ」と笑った。
隆二「健ちゃん、ラーメンの汁ついとるがな」
健二郎はすぐに『相手間違えとんのとちゃうか?』と隆二にツッコミを入れたかったが、なんだかほわんとした物に心が包まれて、
なにも言えなくなった。
隆二「健ちゃんにはいつもお世話になってるからね。クリスマスはうちにおいでよ」
健二郎「え⁉︎ええんか?」
臣「朝まで飲み明かそーぜ」
健二郎「……」
健二郎「…ほな、久しぶりに盛り上がろうか?」
臣「おっ!やっぱそうこなくっちゃ‼︎」
二人の笑顔がやけに嬉しかった。
店を出る時、臣は財布を出そうとしたが、
健二郎はこれくらい奢ったる…
と言って勘定を済ませた。
最近、近いようで遠くに感じていたツインボーカル。
(なんやかんや言うて、クリスマスも
二人のイチャイチャ見せつけられそうやな)
それでも健二郎は心底嬉しかった。
翌日ライブ会場でスポットライトを浴びて
バラードを熱唱する二人の姿を、舞台の袖で健二郎が見つめている。
会場内に艶のあるハーモニーが響き渡っている。
ドームを埋め尽くしたファンの羨望の眼差しを一身に受けて、ツインボーカルは更に輝きを放っていた。
健二郎は眩しそうに目を細めながら思う。
「俺も負けてられへんな」
完
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2017.12.28 10:06
2017.12.28 04:32
2017.12.12 15:16