『羨望③』(続•臣隆妄想劇場78)ショートバージョン

二人が付き合う前は、打ち上げやリハの後など、三人でよくラーメンを食べに行った。



臣はいつも財布を持ってなくて、大抵健二郎が支払いをした。



「臣ちゃん、確信犯やろ?」



そう言いつつも、二人のボーカルに誘われるラーメンは、健二郎の楽しみでもあった。



二人が同居する様になってからは、心の何処かに遠慮する自分がいて、




二人から誘いがあるまで、健二郎からは声をかけない様にしていた。



独り身の健二郎には目に毒なシーンもある。



三人で街中を歩いていても、二人の仲の良さは手に取るように分かる。



車道側を歩いていた隆二を、臣が何気に歩道側に導いたり、



前から酔っ払いのサラリーマンが来ると、臣は隆二の腰を持ち、自分の方に引き寄せて、接触しない様にしている。



(臣ちゃん、隆二のこと守ってるんやろな…)



隆二は隆二で、臣と手こそ繋がないが、裏向きにひっくり返っていた臣のフードを直したり、



背中についた糸くずを払ったりしている。



健二郎(お互い無意識にそういう行動に出るって…心底愛し合ってる証拠やろ?)



続く








0コメント

  • 1000 / 1000