『羨望①』(続•臣隆妄想劇場76)ショートバージョン
「嫁さん…欲しいな」
リハーサルを終えた控え室で、健二郎が呟いた。
隆二「唐突に…なんだよ、健ちゃん」
健二郎はキャスター付きの椅子に後ろ向きに座り、背もたれに肘をつき、左右にゆらゆらしている。
シャワーを済ませた臣の髪をタオルで拭き、甲斐甲斐しく世話をする隆二を見ている。
臣「健ちゃん、羨ましいんでしょ?」
臣が柔らかい笑顔で健二郎に言う。
隆二「え!?そうなの?」
健二郎「俺は嫁さんが欲しいって言ってんねんで。髭生やした野郎はいらん」
隆二「健ちゃん💢」
健二郎に文句を言おうとした隆二の腕を臣が掴んだ。
臣「隆二、髪頼むね」
臣は体を拭き、ジーンズを履いている。
隆二は健二郎に突っ込むのを諦め、臣からバスタオルを受け取った。
隆二「ん、オケ」
隆二「お水、そこに置いてるよ」
臣「サンキュ」
隆二「臣、香水は?」
臣「ん?もう帰るだけだからいい」
健二郎は二人のやりとりを、じっと見ている。
隆二はチラッと健二郎の方を見て、
「健ちゃん、他にする事ないの?俺ら見ててもつまんないでしょ?」
健二郎「ん?いや、気にせんと続けてや」
隆二「やりにくいわ…」
隆二がドライヤーをSETする。
健二郎は口を尖らせ、何をするでもなく、二人を見続けている。
続く
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